死を奇貨とする事勿れ [2005年5月]
死を奇貨とする事勿れ
連日のように報道されているJR福知山線の快速電車脱線事故のニュースですが、昨日は娘さんを事故で亡くされた方が遺族会を結成すべく奔走している様子が流されていました。
なんとなく、気になったので、その方の名前と娘さんの名前をメモって調べてみると、次の記事にぶつかりました。
命ないがしろにしたJR西日本/娘の夢、未来消えた/脱線事故で亡くなった 中村道子さんの母
「もしかして」と娘・道子さんに異変を感じたのは、脱線事故のあった二十五日の午後になってからでした。兵庫県川西市に住む道子さんは、藤崎さんと母娘で印刷会社を営んでいました。この日朝、道子さんは出勤してきませんでした。
道子さんには「子どもの授業参観やPTAには出席しなさい」と言ってきました。一人娘の道子さんを育てながら、日本とアジアの平和のこと、民主主義や人権を守る活動にたずさわってきた藤崎さん自身、娘の小さいころ学校行事にはほとんど参加できず、働き続けてきたからです。「もう少しこの子(道子さん)のそばにいてあげられれば」という思いもしてきたからです。このときも「子どもの用事があって遅れているのだろう」と、遅刻の連絡がないことにも気にとめませんでした。(中略)
中国に「教育里子」
来年には、娘と孫とで中国の山村を訪ねる計画でした。中国の山村に住む「教育里子」に「教育里親」として毎年学資を送っていて、その中国の高校生に会いにいこうと計画していたのです。それもかなえられない。一人娘と約束した夢や未来が、列車脱線事故の衝撃とともに砕け散りました。「戦争でも企業の犯罪でも、罪のないものが殺される。最新の列車自動停止装置(ATS)の導入をしていれば防げた事故です。残された人生を安全確保よりも企業利益を優先したJRの責任追及のためにつくしたい」
この方を最初に見たのは、JR西日本に対して、犠牲になられた方々の名簿を渡すように申し出て断られたというニュースでした。
そのときから、少しおかしいなと思っていました。JR西日本は、個人情報であり、プライバシーに関わる問題だから渡せないといい、それを彼女は「冷たい」「不誠実」と詰っている映像でした。マスコミもいつもならば、個人情報漏洩には鬼の首をとったかのごとく扱うくせに、彼女の論調に乗っかってJR批判を展開していました。
まず、この点ですが、娘さんを亡くされたことは察するに余りありますし、同様の被害にあわれた方と癒されがたい心の傷を慰撫しあい、喪失感を埋めあうことはいいことだと思います。
また、今後賠償問題などが現実的な問題として出てくるなかで、その精神的、肉体的負担を考えれば団体交渉が可能な組織を作ることは必然であるともいえます。
が、だからと言って、個人情報を他の方の了承もなしに漏洩することは分けて考えるべきであり、JR西日本のこの対応は、安全意識の欠如など事故に関連することと混同して非難すべきではありません。
>日本とアジアの平和のこと、民主主義や人権を守る活動にたずさわってきた藤崎さん
事故のことと、直接関係のない情報なのですが、やはりこの部分が気にかかります。記事に織り込まねばならない必然性を感じないからです。
さらに、つい最近、園丁日記の枇杷さんが書かれているように、薬害エイズ訴訟の運動でにおける川田龍平くんとお母さんの一件と重なって見えるからです。
今回の方と単純に比較したり同列に比するのはどうかと思いますし、この方自信がそういう思惑で遺族会を結成すべく奔走しているのではないと思います(思いたい)。
ただ、その周辺にいる人間(ニュースでは、娘さんと2人で経営しているはずの会社にすでに数人が電話番などをしていた映像がありました。)に何か企図するものがないとは言えません。
左翼活動家を見ると、己のイデオロギーのためなら、手段を選ばない姿勢が散見されます。
間違っても自分の娘の死を利用する親はいないと思いますが、その周辺は、この不幸な事実を「奇貨居くべし」と考えていないと言い切れない気配を感じています。
>「戦争でも企業の犯罪でも、罪のないものが殺される。
この発言は頂けません。勿論、気が動転した中での発言だとは思いますし、未必の故意とも思える事故ではありますが、戦争と同列に置き、それを糾すことは平和に繋がるというのは行き過ぎです。
>最新の列車自動停止装置(ATS)の導入をしていれば防げた事故です。
マスコミが報じるままのことを言っていますが、機械に万能なものはありません。設備の導入に加えてそれを操作するものの高い技量と倫理観、管理するものの高い安全意識と指導が不可欠になります。とりわけ労働者に対する視点の欠如はマスコミ報道の弊害でしょう。
>残された人生を安全確保よりも企業利益を優先したJRの責任追及のためにつくしたい
確かにJR西日本は安全への投資よりも企業利益を追求したのだろうと思います。しかし、JRの病理はそれだけではなく、得手勝手な主張を繰り返し、権利ばかりを主張する労組の問題も併せて解決すべき問題です。
今回の事故の後、鵜の目鷹の目でマスコミが見ているからかもしれませんが、オーバーランがどれだけ頻発していることか。これは会社の経営方針だけが原因でしょうか。鉄道マンとしての技量・気概に欠ける労働者にも問題はあるのではないでしょうか。
彼女は、大切な一人娘を亡くされたゆえに今回の行動に出たのだと思いたいですね。そうであれば、その悲しみを乗り越えていけるような遺族会が作られ、少しでも早く、喪失感や寂寥感が癒されることを心から願うばかりです。
私事に近い事ですがJR事故関連で私の会社の人が
巻き込まれ(といっても物損の方で命の方ではありませんが)
どうやら弁護士事務所とJR西日本との往復を余議されなく
なって居るようです(^◇^;)
ソノハナシハ\(^^;\) (/;^^)/コッチニオイトイテ
流石は「赤旗」の記事ですなあ┐(´ー`)┌程度の低い批判です。
>「戦争でも企業の犯罪でも、罪のないものが殺される。
被害者とは言え、これは世論が逆に許さないでしょう。
娘の死を政治に利用するのかと言う批判がこの人に
為される事でありましょう。これは流石に軽率と言わざる
を得ません。同情度が下がる事でありましょう。
例のイラク3馬鹿騒動を想起させるものです。
>とりわけ労働者に対する視点の欠如はマスコミ報道の弊害
>でしょう。
この点からしても各blogのマスコミ批判を招いている訳ですね。
私は見事スルーしましたが(--;) ウblogの皆様の視点の高さは
流石であります。というわけで
>最新の列車自動停止装置(ATS)の導入をしていれば防げた事故です。
これは事故の本質から外れていると言わざるをえませんね。
大抵の人はJRの体質に問題が有りと思ったことで有り、
危機管理の欠如、無理なダイヤ、職員の風潮などなど
色々な要素が重なり、人間的な重過失が起きたと
言えるでしょう。最新ATSの導入がなかったからだと言う
指摘は枝葉末節の事であります。
>オーバーランがどれだけ頻発していることか。これは会社の
>経営方針だけが原因でしょうか。鉄道マンとしての技量・
>気概に欠ける労働者にも問題はあるのではないでしょうか。
特に安全への軽視の風潮が無かったか、ここはJR全体に
厳しく問いつめたい所ですね。この点は経営陣も従業員も
ありません。ダイヤの乱れはスピードで取り返せる、そんな
風潮がJR運転手になかったのか?勿論、オーバーラン
自体運転手として恥ずかしい事で有ることは言うまでも無く
JR職員の鉄道のプロ意識、安全意識にどういう問題あった
のかを私たちも考えなくてはいけませんね。
by abusan (2005-05-07 07:01)
お名前で検索しました。某所の共*党板です。
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1 :革*的名*しさん :2005/05/05(木) 09:48:18
我らが藤崎同士と連帯し、JRを糾弾しようではないか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050504-00000060-mai-soci
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-04-30/15_01_0.html
http://www.pref.osaka.jp/senkan/dantai/you1411/13006.pdf
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そうでなくても、ワイドショーでそれをチラ見したとき、
家族が「いやどこかが違う、この人は…。JRの対応は変じゃないよ、名簿渡されたら普通いやだって」といってました。で、"偶然にも"別の被害者の会の会報を刷っていた?「はあ?」と穿って見てしまうわけで。
勿論、娘さんの死を無意味にしないための活動、そして遺族が不利にならないための活動をしよう、という精神そのものは純粋なものと察します。しかし、ちょっと早い…というのが個人的な感想でして。普通、こういうことを考えるには時間が必要、そして他人さまより親族や長い付き合いの友人など近くの信頼の置ける人、または代理人弁護士の方が欲しい、と考えないかなあ、とは。
「デリカシーが無いのは、どっちか?」と普通に疑問に思います。
by 枇杷 (2005-05-07 11:14)
http://www.pref.osaka.jp/senk an/dantai/you1411/13006.pdf
↑
分量多いのでこちらを。
HTMLバージョン
http://64.233.179.104/search?q=cache:lxeSEoEb91EJ:www.pref.osaka.jp/senkan/dantai/you1411/13006.pdf+%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%B8%82%E3%80%80%E8%97%A4%E5%B4%8E%E5%85%89%E5%AD%90&hl=ja
Page 9を見てみてください。
by 枇杷 (2005-05-07 11:31)
はじめまして。
「生命は、死を恐れない。死の面前で、笑いながら、
踊りながら、滅亡した人間を踏み越えて進んでゆく」
魯迅の言葉です。
地球規模で考えれば、一方で死者が出て、
一方で遊びに興じて美味いものに舌鼓を打つ。
こういう現象は日常茶飯事に起きているのでは?
ぼくも事故当日はビリヤードに興じてました。
ソマリア難民の飢餓や旱魃で日々死に行く子供達を見たら、
日本人(特に関西人)はまだまだ甘チャンだなぁと思います。
人類は万物の霊長と思いあがり、人間原理を振りかざし、
生きることだけに特別な意味や価値を見出そうとするから、
中途半端なヒューマニズムに走りがちになるのでは?
死ぬこともまた意味があり価値があるもので、
生きているものは全て土に還り地球の一部になるのです。
そして食物連鎖により、ありとあらゆるものとして循環します。
自然現象(地震や旱魃、水害など)も地球が生きている証拠で、
人間も地球の一部(というか寄生虫?病気?)に過ぎないのです。
これがごくごく自然な現象であり現実だと思います。
最近のマスコミの論調を見ていると、そういう現実から逃避して、
他の事物に責任転嫁し過ぎなのではと熟々思います。
孫子の兵法(他を知り己を知るは百戦危うからず)じゃないですけど、
とってつけたような正義面を提げて、JR西日本(特に垣内剛社長)を
利益優先主義と槍玉に挙げる前に、まず自分達が視聴率第一主義である
ということを認知して貰いたいものです。
この大事故の当事者であり、本来なら集中砲火を浴びせられたであろう
JR西日本労組書記長のニヤケ顔を全国のお茶の間に流し、
マスコミは十分視聴率や購読料を稼げたのでは?
ボウリングや宴会に興じていた社員はみんな非番でした。
じゃあ同じJR西日本でも和歌山電車区なら許せるんですか?
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という諺がありますが、今のマスコミの
報道姿勢は、どこかの痰壷チャンネルのような向きが感じられます。
http://www.ii-park.net/~arimoto/
by Jonathan (2005-05-07 13:12)
abusanさん、朝が御早いですね。いらっしゃいませ!
コメントどうもありがとうございます。
>どうやら弁護士事務所とJR西日本との往復を余議されなく
なって居るようです
こういうことをお聞きすると、遺族会という組織は必要であろうなと思いますね。政治的なものではなく、純粋に被害者の方々を救済するためのものとして。
>娘の死を政治に利用するのかと言う批判がこの人に為される事でありましょう。
できることならば、そう思いたくないのですが。事故から数日で活動を開始したり、マスコミをうまく利用しているように思える点など、不審に写ったことは否めません。
>各blogのマスコミ批判を招いている訳ですね。
ブログをやっている人はマスコミの欺瞞から開放されている人が多いですからね。尤も、ブログをやってなくても今回の報道に違和感を感じた人は多いのではないでしょうか?
>危機管理の欠如、無理なダイヤ、職員の風潮などなど色々な要素が重なり、人間的な重過失が起きたと言えるでしょう。最新ATSの導入がなかったからだと言う指摘は枝葉末節の事であります。
全く仰るとおりです。ひとつの要素であることは確かかもしれませんが、ある特定の意図のために、一部を誇張するのは非常に問題があると言わざるを得ません。
>JR職員の鉄道のプロ意識、安全意識にどういう問題あったのかを私たちも考えなくてはいけませんね。
会社として総体の問題もさることながら、それを行動で支える人間にプロとして矜持があったか、他人事のように振舞う労組の人間に、よく考えさせなければなりません。本来、そういうことをマスコミがすべきなんでしょうが。機能不全のマスコミはこの事故を機にますます、その無能ぶりを広く世に知らしめてしまいましたね。
私達、利用者が、亡くなられた方の死を悼みこと以外にできることは今回の事件のことを決して他人事ではなく、我が事として考えることではないかと思いました。
by FD3S (2005-05-07 14:15)
あいかわらずのマスゴミ取材に辟易して最近ニュースを見ていませんでしたのでコメント内容が適切かわかりませんが。
マスコミはJRにばかり目がいっているようですが、最近では航空機関係でも安全管理に問題がる事件が多発(工事中の滑走路に管制塔が着陸指示を出していた件など)していたはずなのに今回のJRほど糾弾する姿勢を目にしません。そういうことがありましたで終わっています。
マスコミが今回の事件を”人命を運搬する立場の人間の危機意識の欠如”という本質がちゃんと見えていれば、JRバッシングばかりではなく航空業界や車業界での安全管理はどうなっているのかという素朴な疑問に必然的に行き着くと思うのですが、まったくといっていいほど聞きません。
私たちはニュースを見たいのであってワイドショーが見たいのではないのですが、マスゴミの意識を変えるのには現在、自らの自浄に期待するしかないことに強い懸念を感じます。
by てっちん (2005-05-07 14:18)
枇杷さん、こんにちは、いらっしゃいませ!
コメント+有用な情報を頂き、どうもありがとうございます。
>そうでなくても、ワイドショーでそれをチラ見したとき、家族が「いやどこかが違う、この人は…。JRの対応は変じゃないよ、名簿渡されたら普通いやだって」といってました。
私もそう思ったから、というわけではありませんが、そのように思うのが普通の感覚ではないかと思います。
>娘さんの死を無意味にしないための活動、そして遺族が不利にならないための活動をしよう、という精神そのものは純粋なものと察します。
そうですね、JR西日本という巨大な組織相手に争うというのは、個人には負担が大きすぎることでしょうし、同じ境遇の人どうしで励ましあったりすることも必要だろうと思います。
>ちょっと早い…というのが個人的な感想
私の「?」もそこが起点になっています。時間の問題ではないと思われる方もいるかもしれませんが、事故が4/25、娘さんの死を確認したのが4/27、御通夜が4/29、告別式と赤旗の記事が4/30。
この経時変化を見ると、ただただ、悲しくなってしまいます。
by FD3S (2005-05-07 14:27)
Jonathanさん、はじめまして、拙ブログへようこそ!
コメントどうもありがとうございました。
魯迅の言葉、感慨深いものがありますね。
>とってつけたような正義面を提げて、JR西日本(特に垣内剛社長)を利益優先主義と槍玉に挙げる前に、まず自分達が視聴率第一主義であるということを認知して貰いたいものです。
まさにご指摘のとおりです。マスコミ自体が視聴率第一主義という利益第一主義の権化でありながら、他のそれは許容しない狭量で傲慢な姿勢が見受けられます。
>この大事故の当事者であり、本来なら集中砲火を浴びせられたであろうJR西日本労組書記長のニヤケ顔を全国のお茶の間に流し、マスコミは十分視聴率や購読料を稼げたのでは?
これが一番腹立たしいことかもしれません。マスコミも労組も視聴者(利用者)を愚弄しているに留まらず、ご遺族の気持ちさえも侵しているように思います。
>ボウリングや宴会に興じていた社員はみんな非番でした。じゃあ同じJR西日本でも和歌山電車区なら許せるんですか?
何ら基準のない、薄っぺらい正義感で、さも悪を糾しているかのようなマスコミにはホントに辟易しますね。
ところで、ご紹介いただいたHPを拝見しました。私には不思議な世界でしたが(笑)、面白く拝見させていただきました。ありがとうございました。またお越し下さいませ。
by FD3S (2005-05-07 14:43)
てっちんさん、こんにちは、いらっしゃいませ!
いつもコメント頂きありがとうございます。
>マスコミはJRにばかり目がいっているようですが、最近では航空機関係でも安全管理に問題がる事件が多発していたはずなのに今回のJRほど糾弾する姿勢を目にしません。
そうですね、この事故と同じ日には、高速バスの事故で死傷者が出ていますし、お示しの滑走路の事故でもあわやという内容でした。
仰るように、マスコミに交通事故の本質が見えているならば、もっと大局的な報道が出来るはずですし、そうすべきだろうと思います。少なくとも普通に考えれば、そういう方向性は容易に導出できるであろうと思います。
それができないのが、末期的なマスコミの状況と言えなくもないですが。公共交通機関の問題を論う前に、自分達も公共の電波を使っているということに思いを至らせてもらいたいものです。
>私たちはニュースを見たいのであってワイドショーが見たいのではないのですが、マスゴミの意識を変えるのには現在、自らの自浄に期待するしかないことに強い懸念を感じます。
マスコミにしろ、JR等の交通機関にしろ、視聴者や利用者が問題の本質を正しく見据え、自省、自制、自浄を促すことが必要な時代になったのかもしれませんね。
by FD3S (2005-05-07 14:50)
FD3Sさま
愚生の愚論にご共鳴していただき嬉しく思います。
http://www.error.jp/pf.jsp?target=35803
by ジョナサン (2005-05-09 11:29)
ジョナサンさん、いらっしゃいませ!
コメントどうもありがとうございます。
愚論などとんでもないことです。実にしっかりした素晴らしいご意見であり、また私が表現したかったことをズバリと仰って頂いて、スッキリ致しました。
また、色々とご指南頂ければ幸甚です。またお越し下さい。いつでもお待ちしております。
by FD3S (2005-05-09 11:46)