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人権擁護法案総論反対連合 [2005年3月]

人権擁護法案総論反対連合

日本ペンクラブなど6団体が法案反対の声明を出しています。
彼らの論旨は、メディア規制反対という自己保身的な1点にほぼ集約されており、私としてはそれを批判しており各論反対なのですが(いつもなら突っ込むとこなのですが)、総論で反対しているということでは、彼らの活動の盛上がりもまた、大きな力になりえると思い、紹介します。

なお、声明中には首肯できる部分もありますので、反対メールを出される場合の参考にされるのも良いかもしれません。

まずは朝日の記事から、

人権擁護法案、6団体が再提出反対声明
-----引用開始-----
03年に廃案となった人権擁護法案が今国会に再提出される問題で8日、新聞労連、民放労連、出版労連、日本ジャーナリスト会議、メディア総合研究所、日本ペンクラブ専門委員会の6団体が再提出に反対する共同声明を発表した。

声明は
(1)刑務所や入管施設を所管する法務省の外局に「人権委員会」を置いては、人権救済機関の独立性や実効性が保てない
(2)メディア規制条項の「凍結」も政府や与党が報道機関を監視下に置き、目を光らせることを意味し、メディアの萎縮(いしゅく)を招く

などと指摘、「法案は根本から立案のやり直しをすべきだ」と求めている。 (03/08 23:46)
-----引用終了----

続いて、長いですが、当該声明文を引用します(太字筆者)。

-----引用開始-----
 与党は、2003年10月に審議未了・廃案となった「人権擁護法案」の再提出に合意したと報じられた。再提出にあたって、報道機関による人権侵害を救済の対象としたいわゆる「メディア規制」部分については、別の立法で解除するまで凍結することで対応することにし、今通常国会での成立を期しているという。
 2002年3月に国会上程されて以来、継続審議を繰り返しついに廃案となったこの「人権擁護法案」は、根本的な欠陥を抱えた法案といわざるを得ない。私たちは、人権救済のための法案作成は、根本から立案のやり直しでなければ到底受け入れられず、この法案の上程・審議に強く反対の意を表明する。
 人権の擁護を掲げる以上、最大の脅威である公権力による人権侵害が重視されなければならないはずなのに、法案が救済の対象としているのはわずかに差別と虐待だけにとどまり、公権力が市民の思想・表現の自由やプライバシーなどを侵害しても人権侵害とされず、救済の対象とされていない。公権力の人権侵害に正面から対処せず、逆に「お上」が人権の「擁護者」を名乗って民間の人権侵害を取り締ろうとする今回の提案は、「人権擁護」の名に値しない代物と言わざるをえない。
 人権の適切な救済を確保するためには、国連も求めているように、人権救済の機関が政府から独立していることが欠かせない。この法案がかつて廃案となった大きな理由は、人権侵害の実態が多数指摘されてきた拘置所・刑務所・入国管理施設などを所管する法務省の外局として「人権委員会」を設置するのでは、委員会の独立性はもとより、公正で実効的な救済も担保できないという、各方面からの厳しい批判にあった。この点について根底から出直す提案がなければ、この法案はおよそ審議に値しない。
 さらに私たちは、法案で「差別的言動」と「差別誘発・助長行為」を人権侵害とし、「差別表現」を広く規制していることに注目したい。これまで日本の法律では、具体的な「行為」を離れて、「言論・表現」についてこのような一般的な形で規制する条文はなく、規制対象とされるものが抽象的であることを含め、憲法21条に規定する「言論、出版その他一切の表現の自由」に違反する危険な条項になりかねない。
 とくに後者では「文書の頒布、掲示その他」が含まれ、差別的取扱いを誘発・助長する「おそれがあることが明らか」であるものには、「将来行わないこと」も含め勧告や差し止め訴訟も提起できることになっている。この条項をもとに、出版や放送の事前差し止めも認めるような規定も設けられている。

 そもそも言論・表現の自由は、基本的人権の中でも優先的な価値をもつものとされ、それを規制するためには、明白・緊急で取り返しがつかないような危険があるなど、極めて具体的、限定的である必要がある。言論には言論で」が基本的な原則である。今回の法案はこうした原則を捨て去り、安易に表現の自由への規制を法制化しようとするものであり、このような差別表現が強制調査の対象とされている点も含め、断じて認められるべきではないと考える。
 また「メディア規制」部分の凍結も、事態の改善にはならない。メディアの取材や報道について「人権委員会」の強大な規制権限を法案に明記したまま、その条項を条件付きで凍結するということは、報道機関に対して「問題があればいつでも凍結を解除する」という威嚇効果をもち、政府や与党が報道機関を監視下に置き目を光らせることを意味し、メディアの萎縮を招く危険が高い。
 法案の取材規制部分は、ストーカー防止法と同様の表現で、取材者の具体的な取材の手段を規制する内容になっており、仮に凍結が解除されれば報道・表現の自由に対する重大な制約となる。人権機関がメディア規制にまで立ち入ることは国際的にも例を見ず、必要な規律はメディアの自主規制に委ねるべきだ。そもそも、廃案までの間にあれだけ批判があったにもかかわらず、「メディア規制」部分を削除せずに「凍結」という異例の形で法案に残したこと自体、政府・与党にとってこの法案における最大の狙いが、メディアの手足を縛ることにあったことを物語っていないだろうか。
 このように、期待される人権擁護の機能は十分果たせず、一方で市民の表現活動やメディアの取材・報道の自由を不当に抑圧するおそれの強いこの「人権擁護法案」は、一部凍結などで到底認めることはできない。私たちは、現在の日本で人権がどのように侵害されているのかを丁寧に調査・検証した上で、新たな人権救済機関が必要だとすれば、どういう救済制度が用意されるべきか、広く国民的な議論に委ねて根本から検討しなおすことを強く求める。
-----引用終了-----

 ブログにおける表現も広範に頒布されるものですから、この声明で言及されていることも強ち見当はずれとも言えない部分があります。

ネットによるブログは、まだ過渡期であり、紆余曲折を経る必要はあるでしょうが、いずれ従来のメディアと伍していく日がくるであろうと思います。
買いかぶりかもしれませんが、ネットやブログでの様々な情報の発信は、特定の利害に寄与しない個々人が、それぞれの主観で日常・非日常の問題を考えるのに大きく寄与していることは間違いないでしょう。
ですから、それを今の段階で潰すことは、大きく言えば日本の将来に暗い影を落とすことにつながりかねません。

杞憂であればそれに越したことはないのです、将来こういう記事を書いたねぇって笑えるなら、どんなにいいでしょう。

この人権擁護法案推進派は郵政民営化に反対している勢力であり、古賀誠は将来的なリーダーとして野田聖子を擁立し、安部氏を牽制しています
(古賀や野中は利権を背景に野田という傀儡を立てて、フィクサーとして立ち回るのが目的かもしれません)。

現内閣では、小泉首相悲願の郵政民営化達成の代償として人権擁護法案を献上したのかもしれません。しかも、国政選挙も当分ありません。
更に、親北派だった野中広務の影響力もこの法案には多分に盛り込まれており、真っ当な人権擁護でないことは火を見るよりも明らかでしょう。

日本に普通の感覚としてようやく芽生えてきた国を想う気持ちが醸成する暇も与えられずに封殺されてしまうのは、絶対に回避しなければならないと思います。


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おもちゃ

遅ればせながら、先日はTBありがとうございました。こちらからもTBさせていただきます。

 政策部会での決定が先延ばしになった為、今のうちに声をさらに大きくしていかなければなりませんね。頑張りましょう!
by おもちゃ (2005-03-12 00:38) 

FD3S

おもちゃさま
わざわざ、コメントくださり、ありがとうございます。
また、TBも頂き恐縮です。

老獪な議員も多くいる法務部会で、若手の議員さんの中に、しっかりとした意見をお持ちの方がいたのは心強いと思いました。
今回廃案に追い込めば、同じような内容でまた提出することもないでしょう。
廃案にすべく、私もできること(メールとか電話しかできませんが)をやりたいと思います。今後とも宜しくお願い申し上げます。
by FD3S (2005-03-12 01:23) 

おむ

TBありがとうございます。

この出来事によって、政《まつりごと》に興味・関心の無かった人たちが、この法案で政治に対して声を荒げたことに1つの歴史的出来事を感じます。選挙権を手に入れて2、3年以内の若者たちが、ネット上で知ったこの出来事によって民主主義の根幹に気づき、選挙投票率が今後上がる事を願って止みません。

何よりもこの危険な法案だけは通してはいけないと思います。闇社会の最後に出てくるのは暴力という牙です。その牙の数を増やすような法案は本当に不必要だと実感する次第です。
by おむ (2005-03-12 03:10) 

FD3S

おむさま
コメントを頂きありがとうございます。
行き違いですが、私もおむさまのブログにコメントさせて頂きました。
政治に関しては、ブログを始めて私も何かと考えることが増えました。
それを公然と意思表明できる機会である選挙には今後違った意味で参加できそうです。年齢や性別その他一切を問わないブログの広がりでしっかりとした議論の末に多くの方が政治に興味を持つようになると、今までとは別の成長がこの国にも訪れるのかもしれませんね。
拙いブログではありますが、またお出でください。
by FD3S (2005-03-12 03:25) 

TB&コメントありがとうございます

どうもコメントありがとうございます。
自分は、差別主義者では無いのですが、逆の意味で差別されていると思うこの法案ですね。
差別が無くなるなら、良いですが、明らかに親中・親韓・差別利権の暴走だと思います。
この法案をまず、廃案に持ち込むまで頑張りましょう
by TB&コメントありがとうございます (2005-03-12 04:04) 

まからofどうなってるんでしょうね

上のコメント私です
http://blog.goo.ne.jp/dounanndeshoune1969/
by まからofどうなってるんでしょうね (2005-03-12 04:11) 

FD3S

まからさま、いらっしゃいませ。
コメント&TBどうもありがとうございます。夜更かしされていたのですね。
私も遅かったですが、寝てしまって返事が遅くなりました。
今後とも宜しくお願いします。

多くの人が差別をしっかり考えることが先ということで、まずは廃案にすべきでしょうね。その後、必要ならば、何が問題なのかをしっかりと捉えた上で本物の人権擁護法が作成されるように個々人間(私もですが)の意識を醸成する必要があると思います。
by FD3S (2005-03-12 11:31) 

nori

http://hate-k-and-c.ameblo.jp/
こちらへのTBありがとうございます。
おっしゃる通り、日本に普通の感覚としてようやく芽生えてきた国を想う
気持ちが封殺されるのは絶対回避ですね。
本当にここ数年で、国を思う気持ちが一般の人間にも浸透
してきたところですから。
by nori (2005-03-12 15:06) 

FD3S

noriさま、いらっしゃいませ。
TBさせていただいたあと、コメントして自分のブログに戻ったら、TBとコメントを頂いており感動しました。どうもありがとうございます。
何かリアルタイムでレスポンスがあるのを体感すると感激します。

私も1/12の朝日新聞の記事などをきっかけにして、漸く普通の感覚として国を想う気持ちを実感したばかりです。
まだまだ、ネット世論は発展途上の過渡期でしょうが、近い将来必ず、一つの世論として確立されるものだと思います。
その芽をいまここで摘まれるのは、この国の将来にとっても、ある意味では近隣諸国にとってもいい方向には向かわないと思います。
人権は重要な問題ですので何もしないわけにはいかないでしょうが、こんなケチのついた法案はさっさと廃案にして欲しいと思います。
しっかりとした認識の上で
by FD3S (2005-03-12 15:13) 

鮎川龍人

TBありがとうございました!
法手続きを経ずに、人間の判断によって、個人の人権に干渉し得る、今回の法案は、まさに人権抑圧法案です。
絶対につぶしましょう。
by 鮎川龍人 (2005-03-13 06:53) 

ニート

3日前に2ちゃんねるで人権擁護法案の恐ろしさをしりました。
流れ流れてここまで着ました。こんな恐ろしいものをごり押しする、野中、古賀にはほとほとあきれました。(しょうもない奴ということは分かっていましたが)
しかしこんな大事なことが産経と、共同通信系(地方紙)以外があまり大きく扱わないことを恐ろしく感じています。TVに関しては皆無でした・・・
堀江(彼はあまり好きでない)ではないですが、TV,新聞、雑誌等のメディアはすでに壊死していますね。日本のマスゴミはネットに殺されますね。
私も抗議のメールなどを送っていますが、何かほかに効果的なものはないのでしょうか。
15日にまたこの法案についてやるようなので心配しています。
by ニート (2005-03-13 10:08) 

FD3S

鮎川龍人さま、いらっしゃいませ、お出でくださり恐縮です。
また、コメントを頂きありがとうございます。
今後とも宜しくお願いいたします。
法治国家においては、人は法によってのみ裁かれます。法の代理執行者になる人間はいても、法に依存しない人の主観で裁かれるということは、まさに暗黒の時代に戻ることを意味すると思います。
差別が問題なら、マイノリティに与えられている特権の排除も議論できるような
法案が必要だと思います。とりあえず、現法案はキチンと廃案に追い込みたいものです。
by FD3S (2005-03-13 12:15) 

FD3S

ニートさま、いらっしゃいませ。
ようこそ、場末のブログへ。また、いつでもお出でください。
テレビや新聞など既存のマスコミしかなければ、
いつの間にか成立したであろうこの法案も、ネットがある意味では抑止力になってその成立を見送らせたといえるかもしれません。
私も反対のメールや電話を議員の先生などにしていますが、多くの方もされているようで、その意見が少なからず反映されているように思います。
今まで、選挙以外に接点のなかった議員先生とのコンタクトは思ったよりも容易であることが今回分かりましたので、これぞと思う議員さん(市議、県議を含む)にメールなどで日頃からコマ目に意見をすることが重要なのかなと感じています。ご存知のことと思いますが、
http://blog.livedoor.jp/no_gestapo/
に詳しく情報が示されています。ご参考まで。
by FD3S (2005-03-13 12:24) 

黄泉若宮

遅いのですが、可決前に知った事は何等かの縁在っての事だろうと思い記事を挙げました。
其処でTrack Backさせて頂きました事、報告致します。
by 黄泉若宮 (2005-03-15 19:46) 

FD3S

黄泉若宮さま、いらっしゃいませ。
コメント&TBを頂きありがとうございます。
人権擁護法案そのものは確かに多くの問題があり、見送りになってホッとしているのですが、改めて差別とは何か、人権擁護とはどうあるべきかを身近な問題として感じるきっかけになったことは、収穫なのかもしれません。
潜在的(というより忌避してきた)問題が、顕在化することは意義のあるものと捉えてそれを考える縁にしていければなと思います。
by FD3S (2005-03-15 20:21) 

黄泉若宮

遅れながら、"行動"を起こしてみました。
by 黄泉若宮 (2005-03-16 02:40) 

FD3S

黄泉若宮さま、いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。
早速行動に移されたのですね。素晴らしい。
私は当初、記事は書いたものの、私一人が行動したところでと思っていましたが、拙いまでも自分の考えとして反対を表明したことへの責任から、他のブログなどを参考にして、めぼしいところにはメールをしてみました。
あと、地元の自民党県連にも電話してみました。
メールしただけで、何か当事者意識が芽生えたのは良かったとおもっております。
また、今回の教訓として、選挙の時だけでなく、日頃から議員さん達の活動に関心を持つことが大切だと気付いたことも収穫です。
遅くなりましたが、今後とも宜しくお願い致します。
by FD3S (2005-03-16 03:45) 

羽柴宇土侍従

(コピペ歓迎)
ども、羽柴宇土侍従です(`^´ゝ
人権擁護法反対の戦いも長期化の兆しを見せてきました。
ここでだれると一気に押し切られかねません。
そこで、士気を維持するため側面支援を行いたいと思います。
まず第一弾として、人権擁護法粉砕の戦いのテーマとして使えそうな歌や曲をいろいろ挙げていこうと思います。
皆さんからの投稿お待ちしております。

自作の粉砕ソングも書き込み歓迎します。
ただし、著作権法に触れるような書き込みは即刻削除しますのでご了承ください。

人権擁護法粉砕テーマソング募集
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/5312/1114960345/l100
by 羽柴宇土侍従 (2005-05-02 01:57) 

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