SSブログ

東京大空襲から60年 [2005年3月]

東京大空襲から60年

1945年の3月10日の東京大空襲から、今日でちょうど60年。
朝日新聞の社説によれば、この空襲で10万人もの方がなくなられたそうです。
この悲惨な空襲から奇禍として生を得られた方々もご高齢となり、この悲惨な体験と平和の尊さを後世に伝えることは、当該社説にもあるとおり、非常に重要なことだと思います。
しかし、重要なのは決して戦争を美化するのでも自虐的に捉えるのでもなく、真実をありのまま伝えることではないでしょうか。

そう考えたとき、

-----引用開始-----
今も空爆と名前を変えた空襲が、世界のあちこちで人々の命を脅かしている。 大空襲の被害の実態を立体的に明らかにすることは、

日本が加害者だった時代に生きたアジアの人々の嘆きの深さを共有し、イラクで続く理不尽な死への住民の怒りを理解することにつながる。
-----引用終了-----

↑朱書きの部分はどうでしょうか?
もちろん戦争による被害者を区別することはできませんが、これでは、東京大空襲のようなことを日本がアジア諸国に行ったように受け取れます。

9日の社説も見てみましょう。
ここでは、近隣諸国条項についてまるで中国の新聞の社説のごとく、口角泡を飛ばすかのような論調です。

-----引用開始-----
政府高官が自ら所属する文科省の行政について語った発言である。まして国の基本姿勢にかかわる問題だ。とても見過ごすことはできない。

近隣諸国条項は1982年につくられた。中国侵略や朝鮮統治の史実が教科書であいまいにされたことで、中国や韓国が強く反発し、政府は「過去の反省についての認識にはいささかの変化もない」「教科書記述についての批判に十分耳を傾け、政府の責任で是正する」という見解を発表した。その後、当時の文部省の審議会への諮問と答申を経て、この条項が検定基準に加えられた。(中略)

近隣諸国条項のあるなしにかかわらず、周りの国々との歴史をないがしろにすることはできない。
-----引用終了-----

なんとも鼻息の荒い感情的な社説ですが、上記の近隣諸国条項が出来たきっかけは、1982年に歴史教科書の記述で中国大陸に対する「侵略」を「進出」に書き換えたと新聞各紙が書いたことに起因しています。
因みにその近隣諸国条項による指針を以下に引用します。びっくりしますよ。
(出典:月刊正論教科書問題の発端「世紀の大誤報」の真実

-----引用開始-----
【侵略】主として満州事変以降における日中関係の記述については、とくに不適切と認められる場合を除き、「侵略」「侵攻」「侵入」「進出」「進攻」などの表記についての検定意見を付さない。

【南京事件】原則としては、同事件が混乱の中で発生した旨の記述を求める検定意見を付さない。死傷者数を記述する場合には、史料によって著しい差があることに配慮した記述をし、その出所や出典を明示することを求める検定意見を付す。

【三・一独立運動】同運動が「暴動」の状況にあったとの記述を求める検定意見を付さない

【神社参拝、日本語使用、創氏改名】「強制」などの表記については、検定意見を付さない。

【強制連行】朝鮮人が強制的に連行された旨の表現については、検定意見を付さない。強制的に連行された朝鮮人の人数を記述する場合には、その出所、出典を明示することを求める検定意見を付す。

【沖縄戦】日本軍による沖縄住民の殺害については、沖縄戦の記述の一環として、その原因、背景を正確に表現している記述については、検定意見を付さない。日本軍により殺害された沖縄住民の人数を記述する場合には、信頼性のある資料に基づいて記述することを求める検定意見を付す。
-----引用終了-----


出典元の解説によると、

要するに、「侵略」や「強制」という記述には一切、検定意見をつけず、南京事件などの犠牲者数については、出所・出典さえ示せば、それが不確かなものであっても、検定をパスさせる―という趣旨である。

ということみたいですね。これでは、日本では近代史を学ぶときに中国と韓国が納得する内容しか教えられないということになります。それが事実でも彼らが納得しなければ検定意見が付き修正を余儀なくされるということでしょう。

ところで、この記述問題については、後日そういう事実がないことが判明しました。ところが朝日新聞は、

「文部科学省(当時は文部省)の発言(書き換えが事実でない)は事実と認められる」

という記事を載せただけで、自ら誤報を載せたことの謝罪はしていません。
それどころか、

「中国・韓国との間で外交問題にまで発展したのは、この誤報だけが理由なのか、という点です。(中略)つまり、事の本質は、文部省の検定の姿勢や検定全体の流れにあるのではないでしょうか」
-[逆説のニッポン歴史観(井沢元彦氏著より引用)]

などとお得意の論点すり替えをして自己を正当化しようとしました。従軍慰安婦も南京大虐殺など限りなく創作に近いものを記事として載せて謝罪も訂正もしない。
自らが正しいと思ったら、客観的な検証もせずに、止まる事をしらず、引くこともしない、日常生活の中にこういう人間がいたらどうでしょう。
怖くて近づけませんよね(というか←系の人達も似た傾向かもしれませんが)。

最近では、ネタがないなら作ればいいとばかりに竹島上空を突撃したり(そのときはやけに素直に謝罪してましたけど)、何やらまた新たなキャンペーンでも張るつもりでしょうか?

もう朝日新聞の欺瞞は、多くの人が自分でものを考えるようになったために、通用しなくなっていると思います。そろそろ、自覚してもいいと思うんですが。

ただ、こういう人権擁護法案が成立すればこういう機運に水を差すことになりかねません。とりあえず15日の閣議決定は見送られたもののまだ予断を許さない状況です。反対の世論の高まりで何とか廃案になればいいと願うばかりです。


nice!(1)  コメント(5)  トラックバック(5) 
共通テーマ:ニュース

nice! 1

コメント 5

FD3S

ひらたさま
nice!を賜りありがとうございます。感激しています。どうもです。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
by FD3S (2005-03-11 16:09) 

ko-ba-ber

こんにちは。TBさせていただきました。
2つの原爆については国民の関心は高いですが、東京大空襲についてはあまり語られることがなかったと思います。
戦争の負の遺産として、後世に伝えていかねばならないですね。
by ko-ba-ber (2005-03-12 08:01) 

FD3S

ko-ba-berさま、いらっしゃいませ。
TB&コメントをありがとうございます。今後とも宜しくお願いいたします。
>2つの原爆については国民の関心は高いですが、東京大空襲についてはあまり語られることがなかったと思います。

そういえばそうですね、原爆というものの特異性もあるのでしょうが、私もブログで記事にするまで、恥ずかしながらこの日に対する認識はありませんでした。
仰るとおり、今を生きるものとして、後世にキチンと正確にこれらの悲惨な出来事を伝えるのは責務だと思います。
by FD3S (2005-03-12 11:23) 

achami

先日六本木ヒルズで行われていた「東京大空襲展連作絵画」を見てきました。涙なくては見られない絵画。体験された方がポランティアで開催されたモノです。先日父から・・・「当時本所に住んでた」と衝撃の(?)証言を聞いて、ビックリでした。
ホント、風化させてはいけない!伝えなければ!と切に思う一人です。
by achami (2005-03-13 15:10) 

FD3S

achamiさま、いらっしゃいませ。
コメントを頂きありがとうございました。
私は小学校の修学旅行で長崎の原爆資料館に行きましたが、そのときは恐ろしさが先に立ったのを覚えています。
やはり戦争という手段は、回避せねばならないと思います。
語り部の方々も高齢になっている今、仰るように決して風化させないようにしなければと思います。
by FD3S (2005-03-13 16:35) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 5

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。