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拓けない未来

拓けない未来

「拓」という字は、「開拓」という言葉もあるように、「拓く(ひらく)」と読み、新しい何かを創り出すというような意味が含まれています。

ところが、この字を名前に戴きながら、未来が閉じているとしか思えない人がいます。周回遅れのくせに、トップランナーだと思い込んでいるフシもあるその御仁こそ、誰あらん、自民党前「副」総裁の山崎拓氏です。また、何かやらかしたようです。詳細を産経新聞から。

Sankei Web 政治 山崎派が国立追悼施設を提言 北朝鮮への段階的制裁も(07/18 20:04)

自民党山崎派(山崎拓会長)は18日夕、政治資金パーティーを都内のホテルで開き、靖国神社とは別の国立戦没者追悼・平和祈念施設の新設などを求める政策提言を発表した。総裁選で靖国参拝の是非を争点とする狙いがありそうだ。

新たな追悼施設に関しては「戦没者等に哀悼の誠を表し、不戦・平和の誓いを新たにすることができる施設の設置を検討する」と明記。北朝鮮のミサイル発射にも触れ「日朝平壌宣言を一方的に無視した。ミサイル発射を凍結させるため、国際社会と協調して効果的な制裁を段階的に実施する」よう提起した。

提言は「景気への影響を十分に配慮しながら、2009(平成21)年度までに消費税率の引き上げを実施する」と表明。少子高齢化社会への対処として「すべての国民に社会保障のコストを広く負担してもらうため、消費税の増収分は社会保障を中心に充当する」と指摘した。

山崎氏はパーティーで講演し、小泉純一郎首相の靖国神社参拝で冷え込んでいる日中関係について「外交がうまくいかないことが、北朝鮮のミサイル発射問題の対応などで重大な支障を来している。政冷経熱の状況をポスト小泉の政権下で必ず解決しなければならない」と述べ、関係改善の必要性を訴えた。

そのうえで、首相の靖国参拝を「内政問題であると同時に、隣国が歴史問題の一環として異論を唱えている外交問題だ」と指摘。後継首相は参拝すべきではないとの考えを示した。

恐らく彼は、世間の注目の外にいることに薄々気づいているのでしょう。自分の時代は去り行きつつあることもどこかで感じているのでしょう。しかし、それに抗うかのように、奇をてらった意見を言う彼の姿は未来に拓けたものではなく、閉じかけているように思えます。

>靖国神社とは別の国立戦没者追悼・平和祈念施設の新設などを求める政策提言を発表

>「戦没者等に哀悼の誠を表し、不戦・平和の誓いを新たにすることができる施設の設置を検討する」

平和を願うということは、間違ったことではありませんが、靖国に参拝することがある形(特定の宗教形式や儀式)に束縛されるために問題があるというならば、新しい施設はどういう概念のものになるのでしょうか?自発的な感情を国が強いるということを、恐らく靖国に反対し、新施設を推進する人は嫌うのではなかったのでしょうか。そもそも哀悼の誠を・・・という概念は宗教的なものではないのでしょうか?果たしてそれを超越しつつ、形があるようでないような施設など成り立ちうるのでしょうか。

「不戦・平和の誓いを新たにする」というのも解せません。刷新しなければならないほど、日本は不戦や平和を蔑ろにしてきたのでしょうか。戦後特段の緊張を諸外国との間で起すこともなく、どちらかと言えば、迎合しながら、愛想笑いを浮かべながら、愚直に不戦・平和を達成してきたのではなかったでしょうか。この時点でとりたてて、国民の意見として醸成されているとも言いがたい状況で、政策提言にまとめるべきことであるとは思えません。

>北朝鮮のミサイル発射にも触れ「日朝平壌宣言を一方的に無視した。ミサイル発射を凍結させるため、国際社会と協調して効果的な制裁を段階的に実施する」よう提起

確かに間違いではありませんが、彼の発言が反安倍シフトのための布石であるとすれば、少々穿って見る必要があるかもしれません。国連における決議のあと、日米や有志連合で経済制裁するような発言が聞かれます。恐らくはそれを意識した上で、「国際社会と協調」という文言が使われたのでしょう。勿論そこには、中国、ロシア、韓国などが含まれているだろうことは言うまでもないでしょう。また、経済制裁に批判的な人達がよく言うところの、日本単独では効果がない、というセンテンスも「効果的な制裁」という言葉で表現されています。

国内が制裁一本やりの論調ばかりになるのは、確かに危険な兆候だとは思いますが、北朝鮮の問題にしても、靖国の問題にしても、

>総裁選で靖国参拝の是非を争点とする狙い

という含意が透けて見えてきて、建設的だとはいえないような気がします。

>小泉純一郎首相の靖国神社参拝で冷え込んでいる日中関係について「外交がうまくいかないことが、北朝鮮のミサイル発射問題の対応などで重大な支障を来している。

まるでどこかの野党のような発想で、反体制のマスコミと同じステレオタイプの浅い発想ですね。ミサイル問題の対応とは具体的に何を指しているかを明確にしないまま、今回の対応が恰も失敗であったかのような印象を植え付けようとする魂胆がみえみえです。先のエントリでも書きましたが、中国との外交が仮に良好であったとして、日本が中国に働きかければミサイルの発射を未然に防ぎ得たという客観的な論証を経ないままでは、単なる言い掛かりでしかありません。それは最も簡単だが、最も卑怯で稚拙な言動ではないでしょうか。

今回、国連の決議に至る前に中国には北朝鮮を説得するだけの時間が与えられました。にも関わらず彼らは鈴を首にかけてくることができなかった。だからこそ、安保理決議ができたのでしょう。外交的には日本の勝ちで中国の負けでしょう。中国は、当初、主張していた議長声明から格上げされたばかりでなく、交渉能力にまでケチがついたのですから。

>首相の靖国参拝を「内政問題であると同時に、隣国が歴史問題の一環として異論を唱えている外交問題だ」と指摘

また、異なことを。「中国の北朝鮮への支援は内政問題であると同時に、日本が安全保障に一環として異論を唱えている外交問題だ」という認識で日本政府が中国政府に物申したら、どうなるでしょう?内政問題であり、干渉されるいわれはない、で済まされませんかね?

あちらの言うことは聞くべきだ、こっちらの言うことをあちらが聞かないのは、政府が悪い、首相が悪いって、外交とは不可逆なものでしたっけ。可逆的な高尚ができない相手ならば、相応の付き合い方を考えるのも方法の一つではないでしょうか。

中国を重視するということは、隣国との関係を良好にすることはもちろん重要なことです。相互発展というものもイコールの互助関係ならば望ましいに決まっています。

彼らが言っていることで問題なのは、それが明らかに不均衡な友好関係であること、友好関係を構築することに対する対価について、キチンとした検証がなされないまま、まるで幻想的なイメージだけでそれを推進しようとすることではないでしょうか。

ビジョンは妄想ではない、空中に楼閣は建てられない、となれば、彼らがカウンターパートとなるには、具体的かつ論理的な検証を踏まえた説明なしには受け容れられないでしょう。批判精神のみ旺盛な民主党も同じですが、どうして人の気持ちが離反するような空虚な発言ばかりするのでしょうか。

拓くなら、拓く意味をまず語るべき、だと思います。

 


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